接合プロセス工学研究室

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日本製鉄

NIPPON STEEL

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山本さん(2014.3 博士課程前期修了)
①部署
・和歌山製鉄所 鋼管部小径製品工場(2014年)
・和歌山製鉄所 鋼管部鋼管技術室(2016年)
・ブラジル バローレック ソルソィンス トゥーブラレス ド ブラジル社(2019年)
②仕事内容
・鋼管部小径製品工場(2014年)
和歌山では油井掘削用の鋼管(パイプ)、原油運送用の鋼管(ラインパイプ)を製造しており、主な製品は熱処理(焼入れ・焼戻し)による機械的特性の調整を必要とします。
私の仕事は熱処理加工技術スタッフとして製品の品質管理を行うことであり、具体的には製品の機械的特性が顧客仕様にマッチするよう熱処理条件調整の検討を行うことです。
また、材料開発部署と共に新材質・新規格を試作することも行います。
・鋼管技術室(2016年)
主に知的財産管理に携わり、日々更新される他社の特許出願動向を監視し、自社類似技術との比較を行います。
類似技術である場合、自社保有技術を守るための新規特許出願を検討します。
また、他社・自社の特許を整理し自社が今後出願していくべき特許の方針を検討します。
・バローレック ソルソィンス トゥーブラレス ド ブラジル社(通称VSB)(2019年)
和歌山と同様に鋼管を製造する製鉄所(フランス バローレック社との共同出資)がブラジルにあり、技術支援者としてブラジルに駐在しています。
仕事内容は熱処理技術支援であり、和歌山の時と同様、製品の品質管理を行っています。
和歌山の時とは異なり、自ら現場に指示することはなく、現地(ブラジル人)スタッフに改善提案を行い、現場を動かしてもらいます。
コミュニケーションにはポルトガル語(あるいは英語)が必要ですが、通訳がついており、挨拶以外の仕事の話は通訳を介して会話しています。
③大学研究室の思い出
企業では報連相が大切と言われています。日々の進捗報告、月1回の技術報告、年1回の成果報告など、報告書を作成する機会が多くあります。
ExcelやPowerPointなどを駆使して、いかに分かりやすく簡潔に伝えるか、伝えたいことが伝えられるかが重要であり、意思表示が大切になってきます。
旧接合研では週1回の個別進捗報告(ディスカッション)、月1回の全体進捗報告(研究会)がありましたが、その時の経験が今でも生かされているように感じます。
研究内容は難しいテーマではありましたが、その分、様々なデータ分析方法を試したり、教授の方々といろいろ議論できたことは良い経験、良い思い出です。
④後輩にメッセージ
私の場合、材料系の企業(当時住友金属工業)に就職したいと漠然とした考えがあり旧接合研を選びました。
現在は熱処理技術に携わり、研究室で学んだ材料の基礎知識(組織変態とその特性)が生かされています。
材料に興味のある学生は是が非でもお勧めです。
また、溶接や材料に興味がない場合でも、当研究室にはレーザーと言う特殊な装置、カメラ、特殊レンズと言った光学系の機材など興味深いものがたくさんあります。
研究テーマは溶接ですが、それに付随した装置・機材を扱うことで知識の幅が広がります。
広く浅く、人によっては広く深く学べる環境にあり、就職後には思いのほか役立つと思います。
学生時代をなあなあに過ごしてしまいそうだと危惧している方は是非検討してください。
~ 2021.3 ~
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福永さん(2020.3 博士課程前期修了)
①部署
名古屋製鉄所 機械技術室 機械保全技術課(2021年4月以降)
②仕事内容
製鉄所全体の機械設備の保全を担当する部署で仕事をしており、私はその中で「下工程」と呼ばれる冷延・めっき工程を担当しています。
名古屋製鉄所は近くに自動車工場が多いため、それに対応した薄板製品が主力製品の一つです。日々大量の薄板を世の中に提供している名古屋製鉄所ですが、それを製造する設備がトラブルを起こすと、最悪の場合製品の納入が遅れ、企業としての信頼性を失ってしまいます。
私の部署で行う「保全業務」は、トラブルが発生した設備に対して技術的に原因究明を行い、再発防止策を考案したり、より良い設備となるような「改良保全」の案を提案したりします。
これにより、設備トラブルの発生を抑制し、安定した製造を実現することが私の仕事です。
③大学研究室の思い出
旧接合での研究への取り組み方は、企業での技術者の働き方と似た部分があったと思います。
教授とディスカッションし、目標設定を行い、それを達成するために実験や解析を実施する。
そしてその結果をまとめて、次のステップに進む。
このようなサイクルで研究を進める経験は、今後かなり重要になってくると思います。
旧接合はこの経験を積むには充実した環境(教員や実験設備、研究内容など)なので、公私のバランスを取りながら研究生活を送るには良い研究室だと思います。
あと、設備技術者になりたい機械系の学生が溶接を学ぶことはとても良い基礎作りになると思います。
工場の中には溶接されたもので溢れています。
④後輩にメッセージ
旧接合はブラックと言われていますが、意外とそんなことないと思います。どちらかというと「やることをしっかりやっている」が正しいです。
私が卒業後に研究生活を振返ったとき、楽しかった思い出とためになったと感じる思い出がいいバランスで残ってます。
堅実に将来必要な基礎知識や物事の進め方を学びたい人は、一度足を運んでみてください。
~ 2021.3 ~